少し前ですが2月の19日20日と横浜みなとみらいのパシフィ横浜で開催された日本獣医内科学アカデミー主催の学会に参加してきました。今までより早い時期に腎不全が診断できる新しい検査法の話や、今年発売が予定されている画期的なアトピー性皮膚炎の治療薬の話題など、これから楽しみな内容が盛りだくさんでした。
学会会場では同時に獣医学関連の企業がブースを開いており、私は新しく出ていたりするものを見つけるのが楽しみのひとつになっています。今回目を引いたのは「原因不明で元気のない高齢犬に」というキャッチフレーズでした。何かと言うと犬用コラーゲンサプリメントでした。「なんだコラーゲンか」と思われたかたがみえると思いますが実は最初私もそう思いました。しかし、話を聞いてみるとなかなか面白い内容でした。この商品の始まりはヒト用のコラーゲンとして販売されていた同社の商品を、愛用者が飼っている寝たきりの高齢犬に与えたら立ち上がったという話からです。メーカーはこれを確かめるため帝京科学大学アニマルサイエンス学科と共同研究を5年まえからはじめたそうです。その結果多くの歩行障害のある高齢犬で症状の改善が見られたとのことです。
さて、なぜコラーゲンが犬にこんなに効果があるのかと疑問に思いませんでしょうか。そこでメーカーほ調べました。犬の先祖であるオオカミがまるごと食べていたであろう小動物のアミノ酸成分を調べてみました。そしてそれと市販のドッグフードと比較すると非必須アミノ酸と呼ばれる成分がドッグフードのほうが低い傾向にあることがわかりました。この非必須アミノ酸を補うことのできるのがコラーゲンということです。少し難しい話かもしれませんが、非必須アミノ酸にたいして必須アミノ酸というのがあります。○この非須アミノ酸は動物が体の中で合成できないのでフードに入ってないと栄養不足になりますよ、だからフードには必ず入れてくださいねというものです。それに対して非必須アミノ酸は動物が合成できるので必ずしもフードに十分入ってなくてもいいですよというものです。あれあれ?と思われたかたがみえると思います。じゃあなぜ非必須アミノ酸をコラーゲンで補給したら高齢犬が立ち上がったのということになります。その答えは次のようなものです。非必須アミノ酸は体にとって特に重要なもので、それが故に体の中で合成できるように進化してきたのであろうということです。オオカミ時代、獲物が取れなければ必須アミノ酸は体にはいりません。しかし非必須アミノ酸はその間も体の中で作られ続けているわけです。
この商品どれくらい効果があるのか?当院でもまだ使い始めて間もなく、効果のほどはまだわかりません。皆さんの家に人用のコラーゲンがあるので試してみていただいても良いかもしれません。しかし、高齢犬はコラーゲンの吸収力が弱っているそうで、この商品は吸収の良い形でできているそうです。今なら試供品がありますので良かったらお試しになれますのでご気軽にご相談ください。